抄録
貯留層内の油ガスや地層水からなる流体の挙動は、ミクロからナノスケールの孔隙内での油や地層水が作り出す界面現象に支配されると考えられている。なかでも重質油成分の、油-水界面での振る舞いを理解することは、将来的な重質油開発および在来型石油資源の回収率の向上という2点から重要なテーマである。 本研究では超重質油に分類されるアスファルテンに着目し、分子動力学法を用いて油-水界面におけるアスファルテン分子の挙動をナノスケールから解析することを試みた。そして、界面現象における重要な物性値のひとつである界面張力の値とアスファルテン分子の挙動の関係性を議論し、さらにCO2の界面張力に及ぼす影響について検討していくことで、アスファルテン存在下の油-水界面現象の理解と応用を目指す。