2009 年 50 巻 6 号 p. 485-493
ファッション世界において,脱構築主義はよく議論され,面白い話題でもある.本研究は,1996年に発表したフランスの哲学者ジャック・デリダのデコンストラクション(脱構築)という思想が,ポストモダンの社会とのかかわりを探ることにした.したがって,多くの有名ファッションデザイナーは,服飾作品を通し,デコンストラクション的な手法を取り入れ,ファッション世界の伝統や定められた絶対的真実に挑戦しようと試みた.新しいものを作り上げるとする中,彼らは既存的なことやデザインプロセスに疑問を持ち,つねにそれらを解明しようとする.それと同時に,現存のスタイル,材料,様式またはシンボルなどに対する疑問で,脱構築主義のデザイナーらは,個性をもつスタイルや美学感などをもたなければならないと主張する.彼らは主張すること,そしてその精神がジャック・デリダの理論と呼応し,しかも大胆にファッションを再定義し,服と身体及びファッションの文脈を研究することにした.