中国の民族服「漢服」に着目し , その運動機能性を明らかにすることを目的とした . 春秋戦国時 代 , 西漢時代 , 唐代の漢服 3 種と現代服の着用実験において , 異なる姿勢での衣服圧測定と官能評 価を行った . 結果 ,8 種の姿勢条件における全身 26 ヶ所の衣服圧測定から , 衣服の重さ , 身頃やパ ンツの幅の寸法 , 重なり枚数が , 衣服圧及びきつさ , 動きにくさに影響を及ぼす様子が示された . 漢服の変遷において , 時代と共に衣服が簡素化し , 運動機能性が増すことが明らかとなった . 特に , 乗馬という新しい生活様式の出現後 , 下衣の顕著な運動機能性向上が示された . 伸縮素材を用いず 構造のみの検討において , 現代服と比較した際 , より優れた運動機能性を有する漢服も見出され , 民族服の機能性研究の意義が示された .