本論文では , 人体スキャンデータを左右対称化した個別型トルソーを使用し , 人体の任意の部位に 適応的にゆとりをもたせた身頃原型を開発することを目的とする . 本研究の特長は ,(1) 任意の部 位に適応的なゆとり量を設定可能 ,(2) 開発した個別型トルソーを用いる ,(3)1 次元の寸法に替 え ,2 次元の 3 角形を計測パラメタに用いる . 身頃原型作成のため , トルソーを包む形状の 3 角形 で構成されたポリゴンを作成した . 対象となる個別トルソーデータを読み込み , プログラム内の仮 想 3D 空間内に設置し , 基準線 , 基準点の設定を行った . ゆとり量の設定は , 基準線および基準線 に乗っている基準点をオフセットし , トルソーから離れた位置に移動させることで行った . 試着評 価として , 身頃原型をシーチングで縫製し試着を行った . 試着評価・アンケート結果とも , 良い評 価が得られ , 原型の有効性が確認できた . さらに , バーチャルフィッティングにより , 多くの体型 にフィットすることも確認できた .
個別対応の衣服設計を可能とする個人のバーチャルボディ作成のため , 肩関節の外転動作が無い 自然立位姿勢時の三次元人体形状を得ることを目的に , 計測三次元立位形状からモーフィングを用 いて自然立位形状を推定し , その精度を検証した . 使用データは ,20~50 歳代女性 71 名の三次元 人体形状計測データであり , 上半身を対象とした . 計測三次元立位形状および計測自然立位形状で それぞれ平均形状を作成して , 両姿勢における平均形状間の変化量を算出し , 個人の計測した三次 元立位形状に変化量を加えることで推定自然立位形状を作成した . 寸法や頂点座標値の単回帰分析 , 三次元重合図頂点間距離 , 断面形状の比較から , モーフィングを用いた自然立位形状の推定方法は , 腕部位置に差が生じやすいが , 個人の体型特徴を有したまま自然立位姿勢の人体形状を再現するこ とができた .