繊維製品消費科学
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ポリ乳酸繊維布の収縮加工における繊維径及び良溶媒種の影響
花田 朋美安藤 穣團野 哲也森川 陽
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2012 年 53 巻 10 号 p. 826-834

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抄録

繊維径の太いモノフィラメント糸(PLA-mono)と繊維径の細いマルチフィラメント糸(PLA-multi)から成る2種類のポリ乳酸繊維布について,クロロホルム,ジクロロメタン,1,2-ジクロロエタン3種の良溶媒と貧溶媒エタノールとの各混合溶液を用いて,布帛の収縮性について検討した.収縮率は良溶媒モル分率が大きくなるに従い大きくなるが,PLA-multiではPLA-monoと同じ収縮率を得るためには,より高い良溶媒モル分率を必要とした.PLA-mono,PLA-multiともに,平衡収縮率に達する時間は,ジクロロメタンが最も短く,かつ得られた布帛の強度の低下が最も小さかった.また,平衡収縮率から算出した溶媒和平衡定数の温度依存性は,PLA-mono,PLA-multiともに,3良溶媒種間ではほぼ一致し,それらより見積もった標準溶媒和エンタルピー変化は,PLA-monoよりPLA-multiの方が約25%大きい値となった.偏光顕微FT-IR測定から,PLA-multiの分子配向性がPLA-monoより高いことが示され,より大きな溶媒和エンタルピーを持つことと矛盾しない結果となった.これらの収縮性を応用して,ポリ乳酸繊維布に収縮部分と未収縮部分を混在させ,凹凸と透け感,及び色調の変化を持つテキスタイルを制作した.

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© 2012 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
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