2015 年 56 巻 11 号 p. 883-890
オートクチュール界を代表するジャンヌ・ランバン作のローブ・ド・スティルを詳細に調査し,それに基づいて複製作品を制作した.また,当時のランバンの作品記事や図版を参照し,その位置づけについて考察した.目視観察により9つのデザイン的な特徴に着目し,複製制作の工程を通して,それらの特徴に対する素材,パターン,縫製技法について明らかにした.手縫いのいせ込みとパイピングによる立体的なシルエット,丁寧なぐし縫いと素材の物性を活かした繊細なギャザー,多数のビーズを用いた装飾と美しいシルエットを保つための裏側の仕様等,高度な技と感覚のオートクチュールの服作りの一端が明らかとなった.