繊維製品消費科学
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バナジウム処理と染色による布帛への光発熱と保温効果の付与
上垣 良信塩澤 佑一朗安永 秀計
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2019 年 60 巻 1 号 p. 52-62

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抄録

バナジウム処理して染色したウールの,光照射による発熱性と保温性を研究した.硫酸バナジル(2+)(VOSO4)水溶液で処理後に没食子酸または赤・緑・青系の酸性染料で染色したウールに光を照射すると,未処理のウールやVOSO4 処理なしで黒色に染色したウールに対して,10 分の照射時で15°C 程度以上高い温度に昇温され,消灯後もより高い温度を示すことがわかった.光発熱には可視光線の長波長から赤外線領域に渡る波長の光が主要な寄与をしていて,染色ウールの色による違いはなく,光エネルギーから熱エネルギーへの変換は繊維に吸着したバナジウムの働きであるといえる.VOSO4 と酸性染料であるCyanine 5R を含む水溶液による染色によってウール・シルク・ナイロンが染まり,この三繊維とコットン・レーヨン・アセテートが光発熱性を示す.この繊維の中では処理されたウールの光発熱性が最も高い.

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© 2019 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
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