緯糸に強撚糸を用いることで表面に凹凸形状を持つ綿ちぢみ織物は,生地表面積が大きく吸放湿性が高いことや,肌への接触面積が少なく発汗時の不快感が少ないことから,古くから夏用肌着素材として用いられてきた.しかしながら,吸放湿をはじめとする水分移動特性に関するデータはほとんど得られておらず,夏用肌着素材としての適性は,経験的な認識に過ぎない.そこで,綿ちぢみ織物の夏用肌着素材としての適性を明らかにすることを目的に,市販の標準的な肌着および組成が異なる3 種類の夏用機能性肌着,さらに,金巾織物との乾燥性能の比較を行った. その結果,綿ちぢみ織物は,市販の肌着や金巾織物に比べて水分を素早く吸湿する一方で,織物密度が低いため布に空隙が多く,付着した水分が生地表面に拡散しやすいことから,乾燥性に優れた素材であることを明らかにした.