繊維製品消費科学
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繊維製品の縫製に関する研究 (第4報)
―縫い目の補強に関する実験的研究―
北田 総雄丸山 幸江
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1969 年 10 巻 10 号 p. 615-622

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抄録

本実験は補強テープを用いた縫い目の補強についての効果に合わせて, 縫合型式と縫い目強力の関係を検討した.縫合型式は縫合した縫い目に補強テープを当て縫い目を補強したものを含めて, 割縫い3種, 復うね縫い2種の計5種で, 粗密2段階のピッチで縫製実験を行ない, 縫合引張強度を測定した.なお縫い目の強さの特性値として縫合効率を算出し, その破断過程をオートグラフにより記録した.その結果次のような諸点をあきらかにすることができた.
1.縫糸切断では細かいピッチの方が縫合効率は高いが, 目引切断ではピッチの粗密による効率の差はみられない.なお縫合型式のちがいによる針目数の縫い目の補強に及ぼす効果の度合は異なり, 割縫いIIIおよび復うね縫いIIが針目数の影響を受け易い.
2.補強テープの効果については, 縫い目の破断現象が縫糸切断では, 針目数5目/cmの時は補強テープの用い方による補強の効果は期待できない.針目数7目/cmの時はあきらかにその効果に差はみられ, 補強テープを割縫いIIIおよび復うね縫いIIのように地布に縫いつけた方が補強の効果は大きい.
3.縫合型式の効果については, 全体的に割縫いよりも復うね縫いの方が縫い目の補強の効果が大きい.特に復うね縫いに補強テープを用いた方が実用的である.
4.縫い目の破断過程をみると, 補強テープを用いた縫合型式で縫い目が縫糸切断で破断する場合は, 引張抵抗は2カ所に表われる.
5.同一の破断現象では, 縫合型式間の縫い目強力がほぼ等しい時, 引張抵抗線図に表われる仕事量もほぼ等しい.

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