繊維製品消費科学
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Hoop tensionを受ける被服材料の人間工学的研究
田中 道一弓削 治
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1970 年 11 巻 4 号 p. 214-218

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抄録

ベルトのHoop tensionによって人体に加わる圧力は, 人体の生理的機能, 運動機能に大きな影響がある.そこで, ベルトの圧力について, 理論を基礎として実験室的に人体と関連して求め, また外圧による人体の歪みに関する実験を行なった.
ベルト材としては皮ベルト, ゴムテープ, アメゴムの3種を用いた.被服圧の測定には, 大きさが厚さ1cm, 直径2cm, 容量が300g/cm2のロードセルをベルト下に挿入して行なった.
人体のwaist部分の輪郭は, 疑似楕円であって若い日本婦人の形状は, 短径対長径比がおよそ0.8である.いま簡単なために断面を円形とし, 快適の被服圧を30g/cm2とすると, 一般の婦人用皮ベルトに生ずる引張り力は900gとなる.
ベルトによって生じる内圧を測定すると, 脇部分が最大で, 後中央, 前中央がこれより小さい.
外圧による人体の歪に関する実験では, 外圧300~400g/cm2, へこみ深さ15mmくらいまでは, ヒステリシス曲線を示し, これが圧痛を感じはじめる限界である.また, 綿ブロード, サージ, トリコット, ジャージなどの布を皮膚面上にのせて, 外圧を測定 (外圧子, 直径1cm, 高さ1.5cm) した.その結果は, 皮膚面に直接外圧を加えた場合の外圧―皮膚へこみ曲線が, 皮膚と布を復合して押した場合の同関係曲線より上に (同一へこみに対する外圧大) くる者と, 下にくる者とがある.

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