1971 年 12 巻 12 号 p. 474-479
繊維表面のおうとつと反射特性の関係を検討する目的で, 粗面化加工されているかつら用合繊とスケールによるおうとつと異方性のある人髪を試料として, 試料回転法, 二次元的変角光度法, 三次元的変角光度法により行なった.
繊維表面のおうとつによって拡散反射光が多く, 最大反射光量を示す角度付近の反射光が比較的ブロードとなり, 平滑な繊維表面からの反射曲線とは著しく異なる.
人髪はスケールのおうとつと異方性のためにRoot方向とTip方向に入射された場合では反射光分布が著しく異なり, とくにピークを示す角度に違いがみられる.このピークの差よりスケールの傾斜を求めた値は電子顕微鏡写真から得られた値とほぼ一致した.塩素処理によりスケールを損傷させて除去すると, Root方向とTip方向の反射曲線の差はなくなることからもスケールのおうとつと異方性が著しく反射特性に影響していることが明らかとなった.