抄録
1~3日間着用した衿布を用いて頸部汚染布 (たん白質6~10mg/g綿布, 5cm×10cm) を作製し, 表皮角質層汚れの付着状態, 付着量ならびにその性状について検討するとともに, プロテアーゼの基質特異性や, 2, 3の洗浄条件が洗浄効果におよぼす影響について検討を試みた.
その結果, 頸部汚染布に付着する表皮角質層汚れは衿布を着用する時期および日数などによって付着状態および付着量が異なり, その性状も複雑に変化する.またプロテアーゼによる頸部汚染布の表皮角質層汚れの洗浄においては他の水溶性たん白質汚れの場合と異なり, 一般に低い洗浄効率を示す傾向が認められるが, 角質層細胞の壊死組織に対してすぐれた消化能を有するアルカリ性細菌プロテアーゼA (Bacillus subtilisin BPN') および皮膚ケラチンを特異的に加水分解するアルカリ性放線菌プロテアーゼB (Streptomyces fradiae) を用い, 洗剤の界面化学的作用を併用すると, 適条件 (1~3PU/ml, pH7~10, 40~60℃, 10~20分間) 下では著しく高い洗浄効果を示すことが認められる.