1980 年 21 巻 3 号 p. 117-121
油性汚こうによって黄変した衣料の性格を明らかにし, 白度回復や黄変防止の対策について検討した.
油性汚こうによって黄変した衣料上には, 本来の未変性油性汚こうの他に, 布上に残留し経時と共に変化し, 黄変してきた変性油性汚こう, および有機溶剤には不溶な黄色物質が存在してくると考えられ, これらはそれぞれに異質な性格を持っている.変性油性汚こうは未変性のものより, 洗たくによって脱落しやすく, また, 黄色物質は, 綿のような繊維の共存によって生成してくる微量のもので, 長期保存した綿布の黄ばみを支配し, 著しく増大させている.これらの異質な物質の量や割合, 黄ばみへの寄与度合は, 繊維の種類や保存期間などによって異なり, それに応じて, 黄変布の性格や, いろいろな処理を施した時の白度回復性も異なってくる.
油性汚こうによって黄変した綿布の白度回復には, 漂白や煮洗いが有効である.