抄録
衣服デザインによる錯視によって, 体型を細く見せる研究を行なった.本報では以下のような簡単な場合を報告する.白と黒からなる縞柄の長方形を白黒市松模様の前に置いたとき, 幅の見え方の大小を問題にした.まず測定方法を述べた.ついで各種検査図形について錯視率を調べ, つぎのようなことがわかった.たて縞が最も太く見え, ついでよこ縞がこれより細く見える.白はさらに細く見え, 黒は最も細く見える.背景の市松が粗くなると, これらの差は小さくなる.背景の市松が揺れると, 錯視率は少し大きくなる.背景が白のときより, 黒のときの方が錯視率は少し大きくなる.細い縞も太い縞も, 差は認められなかった.その他実験条件の影響を調べたが, ほとんど影響するものはなかった.ただ被験者間の差が目だった.