繊維製品消費科学
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繊維におけるホルムアルデヒドの脱着に関する研究
桑原 宣彰陶 智子尾畑 納子吉川 清兵衛
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1990 年 31 巻 2 号 p. 95-101

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抄録
ホルムアルデヒド (HCHO) を吸着させた羊毛, 及びポリエステル繊維の脱着挙動を, 種々の温湿度条件下で検討し, 以下の結論を得た. 1) HCHOの脱着にはFickの第二法則から求めた拡散式を当てはめることが出来, その拡散式を用いて拡散係数Dを求めることができた. 2) 拡散係数Dは, 羊毛ではプラスの濃度依存性を, また, ポリエステルでは低温で高湿度の時にマイナスの濃度依存性を示した. 3) 濃度を0に外挿した時の拡散係数D0の温度依存性から求めた見掛けの拡散の活性化エネルギーは, 湿度が50%のときでは羊毛の方がポリエステルよりも高くなったが, 85%では逆にやや低くなった.4) 羊毛, ポリエステル共に湿度が上がるとD0が高くなった.羊毛中での拡散は, 高湿度においては特に自由体積理論を用いてうまく説明できる.これは先に行った透過, 吸着の実験から得られた結論ともよく対応する.
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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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