2001 年 42 巻 1 号 p. 51-59
衣服構成時に必要となる織物のバイアス一軸伸長下のアイロンによるヒートセット性を評価するために, チャック部で変形を拘束しにくいロッドクランプ法を用い, 伸長下でアイロン掛けを可能とする装置を考案試作した.たて・よこ糸方向およびバイアス方向伸長下でアイロン掛けの有無による試料比較によりヒートセット性を評価した.実験の結果, 各伸長下の糸方向ひずみと, たて・よこ糸の交差角度変化およびそれらのヒートセット性を評価することができた.1) 素材, 織構造等による程度の差はあるが, ヒートセットによる変形保持効果が認められた.また, 素材によらず荷重方向のひずみよりそれに直交する方向のひずみの回復率が高い.2) 糸方向のひずみについてクリンプ率との関係を検討した結果, 荷重方向と直交する布目ではクリンプの大きい試料はヒートセット性が大きい傾向にあった.3) この実験装置によりバイアス伸長下でのヒートセット性を評価することができた.