2002 年 43 巻 3 号 p. 204-223
個々の人体形状に適合した新しい衣服設計を展開するため, 3次元体表面の曲率を可展面か非可展面かの関係から捉え, 胴部体表曲面形状の個人差について究明した.青年女子203名の胴部体表面の点の3次元座標値を3次元デジタイザで計測, 胴部形状を三角形多面体として近似した.各点に集中した角度θを算出し, 体表面内部は点集中のガウスの曲率 (Kc=2 π-θ) , 境界線上は点集中の測地的曲率 (kc=π-θ) をそれぞれ求めた.各モデルのKcとkcの合計は-4πの-定値を示し, Gauss-Bonnetの法則による角度の保存則が成立した.概略的には, 胴部内部の6つの領域のKcと3つの境界線のkc別に, 各々の合計, 正の値の合計, 負の値の合計, 絶対値の合計から, 2つの曲率の配分による各モデルの曲面形状の個人差をサイズレスな観点から検討した.各領域と各ラインの点での2つの曲率の個人差についても詳細に究明した.胴部体表面の曲率による個人差は, その値の大きさと形状の2つのタイプに分類された.2つの曲率による色表示と境界線の展開図を自動的に表示して, 胴部体表曲面形状の個人差を把握するための高度情報化を行った.