繊維製品消費科学
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被服分野における色彩計画に関する研究
―「理想の肌色」の存在と被服の色彩の影響―
小林 政司
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2004 年 45 巻 3 号 p. 216-223

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抄録

「似合い」の判断基準を, 被服の色と着用者の肌の色におき, 着用者の肌色の美しさを問うのであれば, これは理想の肌色の存在を示唆する.ここでは, ファッションカラーコーディネーションの系統的な手法として被服分野における色彩計画法を提案することを最終目的としながら, まずそのような肌色が存在するのか否かを検証し, 同時に, 被服色彩の影響として対比現象に関しても検討した.
実験では, 色彩選択プログラムを作成し, 「理想の肌色」を調整法により提示することを試みた.各背景色上の肌色のRGB値は, それぞれわずかな差が認められるものの, RGBの大小関係などは1司一の結果が得られた.一方, 背景色と得られた「理想の肌色」の比較から同時対比現象の発生が確認できた.したがって各個人の肌色が, この「理想の肌色」に近づくような対比効果をもたらす被服の存在が示唆された.
なお, 背景色と「理想の肌色」との相関から背景色を標準的なN5とした場合, 「理想の肌色」のXYZ値として, Xs=51, Ys=48, Zs=32を得ることができた.

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