繊維製品消費科学
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心理状態と生理計測値および触刺激との関係について
石丸 園子
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2006 年 47 巻 12 号 p. 772-784

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抄録

RAS (Roken Arousal Scale) により評価される心理状態のうち, 「眠気, 全般的活性, リラックス, 緊張」の相互関係を, 多変量解析手法を用いて検討した.その結果, 「眠気⇔全般的活性」の因子と, 「リラックス⇔緊張」の因子が抽出された.さらに, 「眠気⇔全般的活性」の因子は, α波パワースペクトル積分値の閉眼/開眼比と同じ因子, 「リラックス⇔緊張」は, 心拍周波数と同じ因子とみなされる結果が得られ, 特定の心理状態を, 心電図, 脳波で関連付けて説明できることが示唆された.それらの位置関係を整理して図示した.
さらに, 衣服による皮膚刺激のうち, 触刺激の違いが, 心理・生理反応に変化を及ぼすか検討を進めた.その結果, 表面摩擦係数が高く, 摩擦係数の平均偏差が小さく, かつ, 圧縮やわらかい布帛力学特性を示し, 「ふんわり, やわらかい」触感を付与できる衣服は, 心理・生理的に「リラックス」「全般的活性」の傾向を示すことを把握した.尚, 布帛力学特性―触感―心理状態―生理反応の対応関係を明らかにしたが, 生理反応については, 自律神経系と中枢神経系の両側面から心理状態を判断することが望ましいことが示唆された.

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