繊維製品消費科学
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多面体を用いた縫合後の立体形状予測
伊藤 海織今岡 春樹
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2007 年 48 巻 10 号 p. 679-690

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抄録

衣服の形には, 型紙設計との関係に着目してみると, ドレープのように軟らかくて型紙設計の時点からは完成形が予測しにくい部分と, 衿のように硬くて型紙設計が完成形に反映される部分がある.本論文では後者に着目した.材料を紙とし, 可展面理論を用いて縫合後の立体形状予測をする場合, 解が一意に定まる点が長所であったが, 解は一般に積分不可能な微分方程式であるため, 実際に解く場合には数値積分を用いる場合があるのが短所であった.つまり汎用システムではなかった.本論文の目的は, 汎用システムを作成すること, すなわち縫合線を折れ線に近似し, 縫合可能な型紙の形状と縫合後の立体形状を, 多面体を用いて求めることである.同時に, 既存の連続系システムと, 本論文で提案する離散系システムの違いを考察する.
最も簡単な正n角錐を例題として離散系システムを作成した.離散系システムにおいては, 最初の立ち上がり角を自由に設定できること, 連続系システムに対応する立ち上がり角と離散系システムにおいて設定した立ち上がり角との差が大きくなるほど母線の制限長が短くなったこと, 3次元縫合線の分割数が大きくなるにつれて, この2つの角度の差が母線の制限長に大きな影響を与えることがわかった.

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