繊維製品消費科学
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マグネチックスターラーを用いた簡易型の渦巻式洗濯機モデル洗浄試験
大矢 勝
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2008 年 49 巻 2 号 p. 139-145

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抄録

消費者テストでの利用を想定した簡易型洗浄試験システムとして, 250mLの洗剤液を含むビーカー中で円盤状攪拌子をマグネチックスターラーで回転させる方式の渦巻式モデル洗浄試験の可能性について検討した.洗浄率は湿式人工汚染 (5×5cm) の表面反射率で評価した.一度に洗う布の枚数, 汚染布の枚数, マグネチックスターラーの回転数などの洗浄条件について検討した後, 洗浄時間や洗剤濃度の影響について検討した.また市販の11種の洗剤の洗浄試験を繰り返し, 洗浄力の差を繰り返しのある二元配置法で評価した.
その結果, 布枚数が増えると洗浄率が高まり, その中の汚染布の枚数が増えると洗浄率が低下した.回転数は450rpm以上の洗浄で高い洗浄率が得られた.よって, 汚染布3枚に白布を2枚加えた5枚を450rpmの回転数で洗浄を行うのが適切と判断した.洗浄時間は10分間以上, 標準使用濃度で高い洗浄率が得られた.市販洗剤の洗浄試験の結果, 弱アルカリ性合成洗剤と粉石けんの間には差は認められず, 中性洗剤は両者よりも洗浄力が低い傾向が認められた.本法では特異な試験結果が認められなかったので, 適応範囲を限定した上での洗浄力評価法として採用できると判断した.

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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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