雪氷
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地上気象要素の偏差に見られた 2007/2008冬季の特徴
中井 専人山口 悟竹内 由香里
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2008 年 70 巻 5 号 p. 487-498

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抄録

2007/2008冬季の特徴を地上気象要素の偏差の解析によって記述した. 規格化した冬季最大積雪深によると, 本州では標高200m 以下で少雪傾向, それより高い地域は平年並みであった. 北海道では標高50m 以下に多雪となった地点が多く見られた. 平均よりかなり少雪となった地点は100km スケールで偏在していた. 日平均気温の平年偏差をもとに,2007/2008冬季を特徴づける期間として,Ⅰ.12 月前半から1 月前半の高温,Ⅱ.1月後半から2月後半の低温, Ⅲ.3月前半から後半の高温,を見いだした. 期間Ⅰは降水の多寡によらず少雪であり, 期間Ⅱでは期間Ⅰの少雪を補うほど多くの降雪があった地点のみが平年並の積雪深に到達した. 期間Ⅲ においては高温偏差に伴う顕著な融雪が広域的に起こっていたことが示唆された. 期間平均で1K 程度の日平均気温偏差でも,降水形態や融雪速度の変化が積雪深に影響し, 少雪/ 多雪の傾向に影響し得ると考えられる.

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© 2008 公益社団法人 日本雪氷学会
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