気泡による白濁のない透明な氷は,高品質な氷として飲料業界で商業的価値は高いが,既存技術では容易には得られない.必要な場合には大きな氷から透明部分のみを切り出して得ていた.上村らが開発した放射製氷技術で作製した氷を観察したところ,製氷過程初期段階に冷却面付近に発生する微気泡群と製氷途中に所定位置から発生し始める気泡列の2種類が観察された.本研究では気泡列について着目し,気泡列発生の原理の理解とその抑制策を検討した.氷の成長に伴い水槽内の原料水中の溶存気体濃度が高まり,飽和に達すると気泡列が発生することから,初期溶存気体濃度の関数として初気泡発生位置を推定する理論式を導出した.溶存気体として酸素で代表し,原料水の初期溶存酸素濃度や冷却条件を変更して初気泡発生位置を測定したところ,予測値が40 mm以上の領域では気泡発生位置の実測値は予測値と傾向が良く一致した.放射冷却面の温度を変えて成長速度を変化させた実験から成長速度が大きい条件下では,予測と実測の乖離が大きくなったが,上記予測の妥当性を否定するものではなく,水槽内の液相の溶存気体濃度が非平衡状態であることによるものと考察した.
2025年2月に福島県の山岳地においてALS(航空機搭載型レーザースキャニング)により一つの雪崩を捉えたので定量的な形態把握を行った.その結果,次のことが分かった.雪崩は面発生乾雪雪崩で規模が小さい流れ型である.雪崩場の特徴は強い西風の影響を受ける風下斜面で,植生は草または灌木で雪崩発生抑止効果はほとんどない.発生区付近には最大深さ10.0 mに達する大規模な吹溜り箇所があった.発生区の傾斜は40~45°,走路・堆積区の傾斜は20~25°,見通し角は25°程度であった.発生区の幅は約150 mの横長で走路・堆積区は地形が影響してやや扇形状に広がり流下長は100~130 m,雪崩全体の外観としては長方形である.発生層厚は個所によっては4.0~9.0 mと推定された.9.0 mは吹溜りの影響によるものと推定された.この雪崩は幅150 mにわたり全層と表層が連続的に崩壊し,デブリの一部は発生区直下にスラブ状に堆積していた.特徴的な外観としては発生位置と停止位置,範囲が明瞭に判別できること,発生区の上部に76.6 mの長いクラックが見られることなどが挙げられる.幅150 mの約半分にあたる長さ76.6 mのクラックが崩壊せずに雪崩跡に留まっている例は珍しい.
2024/2025年冬期,青森県津軽地方では記録的な大雪となり,停電や交通障害が多発したほか,人的被害や住家・非住家被害,農業被害が甚大となった.そのため,2025年1月4日に災害救助法が適用された.その後も大雪が続き,2025年2月25日に再び災害救助法が適用された.著者らは,1月の災害救助法適用を受けて,青森県津軽地方において,主に市街地を対象とした広域積雪調査をおこなった.1月の調査では,積雪深や積雪相当水量が津軽平野南西部や青森平野南部で特に大きかった.各観測点の全層密度を平均すると,その値は約350 kg/m3となり,厳寒期としては高密度だった.積雪断面観測で全層が濡れていることを確認したことと併せ,いわゆる湿った重い雪であることが確認された.1月から2月にかけての積雪相当水量増加が顕著であった調査地点は丘陵地でリンゴの被害報告と一致した.