2009 年 71 巻 5 号 p. 353-360
温度-10℃,圧力0.1MPa程度で安定なキセノン(Xe)ガスクラスレートハイドレートを用いて,その成長過程を“その場観察”した.Xeハイドレートは氷表面に核生成し,氷表面に沿って成長するが,その成長形態は,低過剰圧ではファセットが現れるのに対し,過剰圧を大きくしていくと全体の形態は円形状へ移行した.さまざまな温度・圧力で,結晶形態,成長速度とその変化を測定した結果から,過剰圧が小さい場合の成長機構は層状成長であり,特に過剰圧が0.02MPa以下では“らせん転位”の散発的な発生の可能性が考えられた.一方,過剰圧が0.06MPaを超えると成長機構はカイネティックラフニングによる付着成長へ移行し,同時に成長形態が円形状へ変化すると考えられた.