社会的に話題となっているいわゆる「水の結晶」について実験的に検証を行った.その結果,この結晶は過冷却水滴の凍結過程において形成され,それは,ある条件が満たされた水滴の凍結氷球上に雪結晶状の形態となって形成されるものである.そして,その条件から外れた水滴には結晶が形成されないか,あるいは歪んだ形状の,いわゆる「醜い結晶」ができる.その水滴に関わる条件とは,氷点下で比較的長い冷却時間を経過することであり,加えて,その粒径について適当な大きさのもの(本実験では0.15〜0.52mm)が選択されることである.このように,いわゆる「水の結晶」は当然ながら科学的な成因によるものであり,言葉をかけるとか音楽を聴かせるなどの呪術的な「根拠」は問題外としても,科学的見地から具体的に検証されるべきであり,今回は相応に検証され得たものと考える.