雪氷
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立山の積雪の性質の研究
中川 正之川田 邦失岡部 俊夫清水 弘秋田 谷英次
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1976 年 38 巻 4 号 p. 157-164

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抄録

立山周辺は我が国有数の豪雪地帯で, 立山中腹の室堂平 (2,450m) では例年10月中旬頃より降雪が始まり4月中旬頃まで続く.厳冬期には最低気温は約-20℃, 降雪は強い風を伴い吹雪となることが多い.平坦地で最大積雪深は5~7mに達するが, 7月上旬頃に消失する.
この室堂平の積雪の性質の特徴を知るため, 昭和47年以来3冬期にわたり入山し断面観測を行った.厳冬期のしまり雪は下層程圧密化が進行し, 密度・硬度ともに大きな値をもち, 最大値はそれぞれ, ρ=0.51g/cm3, R=25kg/cm2であった.硬度と密度の関係は
R=400ρ4.6g/cm2
で表わされ, 同一密度に対する硬度は北海道の札幌や問寒別の雪に比べて遥かに大きい値である.厳冬期のしまり雪の圧縮粘性係数は
η=3.3e20.2ρg・day/cm2
で表わされ, 札幌の雪より同一密度に対して大きい値である.融雪期のざらめ雪の密度は, 5月上旬頃0.55g/cm3で以後次第に増大し, 消失直前には0.65g/cm3に達した.

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