熱収支法に基づいて, 融雪量を求める簡単なモデルを示した.1) このモデルによって, 岩手県和賀川上流の沢内で測定した日射量・下向き大気放射量・気温・風速のデータをもとに融雪量を計算した.その結果, モデルによる融雪量の計算値は, 積雪深と積雪密度の観測から得た実測値とほぼ一致した.2) 日射量や下向き大気放射量のデータがなくても, 日照時間などからそれらを推定する方法も開発した.3) 気温の高度減率を仮定し, 熱収支法を583km2の和賀川流域全体に適用して, 融雪出水量を見積ったところ, 湯田ダムへの流入量の実測値とよく対応した.4) 種々の外部パラメータについて日融雪量をグラフ化し, ほかの地域についても簡単に日融雪量の概算値を求められるようにした.