1994 年 56 巻 1 号 p. 11-18
積雪表面温度を,簡単な積雪熱収支モデルと,積雪内部の物理過程を考慮した精密なモデルで計算し比較した.その結果,簡単な熱収支モデルで全積雪期間の熱収支を10 Wm-2程度の精度で計算できることがわかった.これは,北海道母子里における積雪表面温度の観測によっても確かめられた.また積雪表面温度は,長波放射,顕熱・潜熱のバランスだけでほぼ決まり,日射量にはよらないことがわかった.また,伝導熱は急激な表面温度の変化をおさえるものの,平均的な値に対する寄与は小さかった.これらのことを利用した積雪表面温度の推定法も提案する.