雪氷
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等高線にそった帯状伐採が融雪流出に及ぼす影響
志水 俊夫吉野 昭一
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1996 年 58 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

森林総合研究所宝川試験地1号沢流域の森林において,面積率で52.5%の等高線にそった帯状伐採を行い,融雪流出に及ぼす影響を調べた.帯状伐採前に比べて伐採後は融雪流出期間が平均で8日間長くなり,融雪期流出率は64.5%から70.9%へ6.4%大きくなった.消雪後には流量減少期の減水勾配が緩やかになった.流出ピークの現れる時間遅れは初期流量が少ない時には2時間程度短くなり,初期流量が多い時には40分程度短くなった.帯状伐採地は,森林地よりも日射吸収が大きく,融雪が促進されやすく,雪質が変化しやすいことがわかった.他方,伐開地では森林地に比べ積雪量が増加しやすく,周囲の残存林帯による日陰効果のため,皆伐地よりも融雪が遅延されやすい.

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