雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
ガラス粉粒体中の層状氷生成モデル
渡辺 晋生武藤 由子溝口 勝
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キーワード: 粉粒体, 層状氷, 凍結速度
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1999 年 61 巻 3 号 p. 207-214

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抄録

粉粒体が一方向から凍結すると,氷が粒子を押しのけ層状に析出することがある.この層状氷は低温側から発生と成長を繰り返し生成する.層状氷の生成を扱う理論やモデルの問題点に,層状氷近傍の多粒子の振る舞いや,層状氷の繰り返し析出する様子の説明が困難なことがあげられる.筆者らは,これまでに一連の実験を行い,層状氷の生成機構に影響を及ぼす因子を示してきた.そこで本論では,筆者らの一連の実験結果をもとに,粉粒体中の層状氷生成モデルを提案する.本モデルは,1)凍結速度の変化による層状氷の発生,2)成長面の過冷却による層状氷の成長,3)成長面近傍の粒子数密度と臨界凍結速度の変化による層状氷の不連続な生成からなる.本モデルにより,飽和した均一粒径ガラス粉粒体中の層状氷の生成が説明できる.多くの粉粒体や多孔質体中の層状氷の生成は大変複雑な現象であるが,こうした理想系のモデルを考えることは,その基礎機構を考える上でも有用である.

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© 公益社団法人 日本雪氷学会
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