雪氷
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ネパール・ヒマラヤ東部の氷河目録と最近の氷河変動
朝日 克彦
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2001 年 63 巻 2 号 p. 159-169

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抄録
ランタン・ヒマール以東のネパール・ヒマラヤ東部を対象に,氷河分布図を含む氷河目録を作成した.1992年撮影の垂直撮り空中写真を実体視判読することによって,詳細な氷河分布を最新の5万分の1地形図上に描出した.分布図によれば,ネパール・ヒマラヤ東部には1024の氷河が存在し,そのうちの153(15%)が岩屑被覆氷河であった.氷河の総面積は,1597km2に及び,岩屑に覆われた範囲はそのうちの261km2で,全体の16%を占めている.1992年現在のこの氷河分布図と,1958年撮影の空中写真により作成された地形図とを比較し,最近34年間の個々の氷河の末端変動を明らかにした.合理的なデータのみを取り上げ,全体の約半数の氷河について検討した.その結果,57%の氷河が最近34年間で後退していた一方で,35%の氷河が停滞,9%の氷河が前進していた.したがってネパール・ヒマラヤ東部の氷河は,全体には後退傾向が顕著なものの,全ての氷河が後退している訳ではない.後退・停滞・前進の変動種別ごとの出現の割合には地域差があり,クラスター分析によって16に細分した山群・流域は氷河変動の傾向をもとに三つの地域類型に区分できる.地域差が生じる要因やより広い範囲での傾向については,さらに詳細な検討が求められる.
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