雪氷
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Print ISSN : 0373-1006
スパン30mアイスドーム建設の試み
粉川 牧
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2002 年 64 巻 4 号 p. 469-476

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抄録

北海道のトマムにおいて,2001年2月上旬から4月上旬の間,底面直径約25m,高さ約9mのアイスドームの建設実験とクリープ測定を行った.型枠として用いた円形2重平面膜の直径が30mであることから,以後,スパン30mアイスドームと称する.建設施工に要した日数は正味6日間(雪氷基礎リングの施工に2日間,型枠空気膜の建ち上げ及び散雪散水作業で4日間)と極めて短期間でドームを完成し,巨大アイスシェルに対する本工法の施工合理性を実証した.完成後のクリープ実験において,ドーム中央部分の平均クリープ変位の推定値6.5mm/dayは,過去に実験した20 mドームの測定値から予測される値と定量的によい対応を示した.一方,崩壊は外気温が頻繁に0℃を越え,さらにその日平均がプラスとなる日が3日続いた後の4月10日に生じたことから,本ドームは充分な耐久性を有していることが示された.今回の実験から,スパン30m巨大アイスドームの建築的構造物への適用可能性が実証された.

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