雪氷
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広域に適用可能な融雪・積雪水量モデル
水津 重雄
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2002 年 64 巻 6 号 p. 617-630

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抄録

気象台,地域気象観測システム(アメダス)の気象・積雪データと標高数値モデル(DEM)を用いた分布型融雪・積雪水量モデルを開発した.このモデルは,降雪量,融雪量,積雪水量の分布と時系列の推定が可能である.一般に公開されているデータだけで構築が可能なので,任意の日,地点の推定ができる実用的なモデルである.降雪量と融雪量を日単位で計算し,その差を翌日に持ち越すことにより積雪水量を計算する.降雪量は降水量と気温から推定する.融雪量は簡易熱収支法を用いて,降水量,気温,日照時間から計算するが,日射量は斜面や地形による遮蔽も考慮している.任意地点の降水量,気温,日照時間はアメダスデータと地形との統計解析から推定される.モデルを北海道から中国地方の地域に適用し,検証を行った.その結果,吹き溜まりや吹き払いによる積雪の再配分やアメダスでは検知されない局地的な降雪には十分には対処できないものの,実測とよく一致することが示された.さらに,低標高地点に比べ高標高地点で誤差が大きくなるが,高標高地点のデータが利用可能であれば,誤差が小さくなることも示された.

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