抄録
防雪林の防雪効果に関する実測データを得るため,野外にアカエゾマツ(Picea glehnii Masters)の試験林(樹高2.2 m)を設置して野外観測を行なった.また,モデル実験の有効性を検証するため,試験林のモデルを用いた風洞実験を行なって観測結果と比較した.野外観測からは,幅の狭い防雪林は,柵の前後に雪粒子を捕捉する吹きだめ柵と類似した機能を発揮することがわかった.モデル実験では,プロトタイプの吹きだまり分布をほぼ再現することができた.モデル実験の風速および吹きだまりが形成されるまでの時間に関しては,Tabler(1980 b)およびAnno(1984 a)によって提案された相似条件を用いて観測値と比較検討が行なわれた.風速に関してはAnnoめ相似条件から得られた値が,形成時間に関してはTablerの相似条件から得られた値がそれぞれ観測値に比較的良く一致した.