サービソロジー
Online ISSN : 2423-916X
Print ISSN : 2188-5362
論文Abstract
Consumer service innovation in a circular economy-the customer value perspective
Maria AntikainenMinna LammiTaru Hakanen
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 5 巻 4 号 p. 38b

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抄録

Journal of Serviceology Vol.3 No.1, pp.1-8, 2018

環境問題に対応するためには持続可能な循環型経済を構築することが求められる.そこでは,消費者はできる限り長く製品や原材料を使用し続けることが望まれる.循環型経済に移行していくためには,企業のビジネスモデルの根本的なリ・デザインが求められる.この場合,製品を販売するよりも,企業は所有権を保持したままで「循環型経済レンタル・サービス」として製品の利用を顧客に販売するようになり,その結果として資源の利用が社会的に最適化されることが期待できる.

したがって,製品を購入するよりもサービスの提供のほうが消費者にとって異なる価値を有しなければならない.この点を明らかにするために,本論文では製品やサービスを購入する場合について顧客価値,すなわち顧客が知覚するベネフィット(プラクティカル,経済的,個人的,社会的なベネフィット)とコスト(金銭的,非金銭的コスト)とのトレード・オフに着目した.そしてソファ,洗濯機,衣料品についてフィンランドの消費者へのグループインタビュー調査を実施することで,各製品のレンタル・サービスのビジネスモデルにおけるベネフィットとコストの特性を明らかにした.その結果,消費者が所有するかレンタルするかは経済的ベネフィットとコストのバランスが重要であることなどを明らかにした.

本論文は持続可能な循環型経済の構築を強調したPSS研究とのかかわりを有しているが,消費者視点を強調し,顧客価値概念を導入した点に意義がある.またインタビュー調査を通じた探索的な研究として位置づけられよう.

和文概要:菊池 一夫(明治大学)

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© 2019 Society for Serviceology
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