環境科学会誌
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シンポジウム論文
ベイズ統計を用いた種の期待影響割合による確率論的生態リスク評価法の開発
林 岳彦
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2009 年 22 巻 3 号 p. 204-211

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抄録
本稿では,種の期待影響割合のベイズ統計を用いた算出手法を示した。本手法では,ベイズ法に基づく統計モデルを用いマルコフ連鎖モンテカルロ法により環境中濃度分布と種の感受性分布のパラメータ推定を行い,それらのパラメータの事後分布からモンテカルロシミュレーションにより種の期待影響割合の中央値および信頼区間の算出を行った。また,本手法では生物分類群間での化学物質に対する感受性の違いを考慮したモデルを用い,生態毒性データに含まれる分類群ごとの種数の偏りを補正した種の感受性分布の推定手法を示した。本手法は従来の種の期待影響割合の算出法に存在した主要な問題点を解決するものであり,異なる化学物質の定量的生態リスク比較やリスクトレードオフ解析における今後の研究に大きく寄与するものである。
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© 2009 社団法人 環境科学会
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