バイオマスタウン事業の波及効果を定量的に把握することを目的として,バイオマス会計表を用いて,岡山県真庭市のバイオマスタウン事業を本体事業と波及事業に分けて集計した。真庭市の木質系廃材・未利用木材利活用事業における10 の本体事業と7 の波及事業をバウンダリーとし,ヒアリング調査によって得られた情報をバイオマス会計表に入力,自動分析させ,事業収支,CO2 収支,事業への参加者数の集計結果(1 年間)を示した。真庭市全体の事業収支,GHG 収支はともに良好であったが,波及事業の経済的・環境的効果は,本体事業と比較して小さかった。バイオマス会計表を用いると,本体事業と波及事業の経済的・環境的・社会的効果を定量的に把握し,表示することが可能であった。波及事業の中には,環境的効果は低いが経済的効果が高かった真庭市の木片コンクリート製品製造販売事業があり,これらの結果を示すことで,将来,波及事業への新規参入が増える可能性がある。バイオマスタウン事業では,事業主体が事業情報を正確に把握し,その成果を地域住民や関連企業等の利害関係者に提示することが求められることから,バイオマス会計表は,事業主体の説明責任に資するツールになり得るといえる。