環境科学会誌
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2025年シンポジウム
CCSを推進する財務的意思決定基準及びサステナブルファイナンスの一考察
伊藤 晴祥
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2026 年 39 巻 5 号 p. 206-215

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抄録

本研究では,CCSの推進が民間のサステナブルファイナンスにより可能か検証した。民間のサステナブルファイナンスでは推進が難しい場合,アメリカにおける内国歳入法45Q条(Section 45Q)等の税額控除やカーボンプライシング等の政策が必要となるが,民間のファイナンスのみで推進が可能となる条件を整理した。CCS投資の評価には,リアルオプションを考慮した。具体的には,CCSからの撤退オプションを考慮し,サステナブルファイナンスの利用により資本コストが低減できると仮定して分析した。分析の結果,分離回収コストが現状の4,000円/t-CO2から5年後に2,000円/t-CO2になる確率が80%,4,000円/t-CO2のままである確率が20%,2,000円/t-CO2になった場合,5年後に1,000円/t-CO2になる確率が80%,2,000円/t-CO2のままである確率が20%との仮定では,撤退オプションを考慮しない場合は,サステナブルファイナンスによる資本コストの減少分(WTP)が3.8%以上,撤退オプションを考慮した場合には,WTPが3.7%以上であればCCSを推進するべきである。撤退オプションを考慮した場合には,比較的低いWTPでもCCSが推進されることが分かり,リアルオプションを考慮することにより,不確実性の高いCCSが推進されることが理解できる。さらに,3.7%のWTPは,先行研究における上限値であり,成功確率も80%を仮定していることから,現状では民間のサステナブルファイナンスのみでCCSが推進される可能性は高くない。WTPが4.7%でサステナブルファイナンスの資金調達が可能になれば,成功確率が20%でもCCSが推進される可能性がある。民間のサステナブルファイナンスが発展し,さらにカーボンプライシング等の政策を組み合わせることにより,CCSの更なる推進が期待できる。

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