環境科学会誌
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カンボジア・プノンペン周辺で捕獲した魚類の有機塩素系農薬およびPCBs汚染
佐伯 和利江崎 恭志田辺 信介鹿島 勇治土井 陸雄
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1999 年 12 巻 3 号 p. 345-350

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抄録

 カンボジアにおける農薬の使用と汚染の実態を把握するため,現地の政府関係者,NGO職員等の情報,およびプノンペン周辺で入手した淡水魚の残留性有機塩素系農薬およびPCBsの分析結果から,その環境分布を考察した。魚の筋肉からHCHs(ヘキサクロロシクロヘキサン異性体),CHLs(クロルデン化合物),DDTs(DDT化合物)が検出され,HCBとPCBsはほとんど検出限界以下であった。また,HCHs類のなかでγ-HCHは検出限界以下であった。他の国で報告されているデータに比べ,カンボジア産魚類の筋肉から検出された残留性有機塩素化合物の濃度は低値であった。魚肉から検出した有機塩素系農薬の最高濃度をもとに求めたカンボジア住民の1日当たりの農薬摂取量は,FAO/WHOの許容基準値を超えなかった。これらの結果から,残留性有機塩素化合物によるカンボジアの環境汚染は進んでいないと結論された。

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