環境科学会誌
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物質フローと環境負荷のモデル化による省エネルギー・環境対策技術の評価
森 俊介村上 忠興
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2000 年 13 巻 5 号 p. 602-610

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抄録
 廃棄物の減量化、資源の再利用、再資源化を進めるリサイクル社会の構築は、エネルギー問題、廃棄物問題、温暖化ガス排出削減問題に対する解決策の一つとして注目されており、様々な対策オプションが提案されている。「ゼロエミッション」プロジェクトでは物質循環プロセスを考慮した新しい産業ネットワークのあり方を探索している。本研究では、この一環として、エネルギー多消費製造業種(紙・パルプ、アルミニウム、鉄鋼、セメント、プラスチック)、自動車産業に着目して、マテリアル・エネルギーフローモデルを構築し、相互連関を考慮しつつ総合的な評価を行う。 本研究では、投入エネルギー最小化、CO2排出量最小化、総廃棄物量最小化、投入資源最:小化の4ケースから、オプションのトレードオフと補完性を比較する。モデルシミュレーションの主な知見として以下を得た。 1.紙・パルプ部門においては、投入エネルギー最小化とCO2排出最小化間のトレードオフが現れた。 2.自動車産業においてリサイクル材利用を増やすと、アルミニウムと鉄鋼部門で大きなエネルギー削減効果が得られた。 3.廃プラスティックの高炉原料化は、省エネルギー、CO2排出削減の双方に有効であった。
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