抄録
地域ゼロエミッションは資源・エネルギー生産性の向上、人間活動からの環境負荷物質排出低減によって実現される。資源生産性の向上には生産プロセスの見直し、未利用資源の再利用を含めた地'域の物質循環を最適化することが有効である。そのためには現状の地域物質フローを解析する必要があるが、これまでに地域物質フローを簡易に推計する手法はほとんどなかった。本研究では筆者らがこれまでに開発した食品関連産業の物質フローの解析手法を改良し、地域の全産業の物質フローを簡易に解析する手法を開発した。さらに、本手法を愛知県に適用し、同県の物質フローの解析を行った。本手法による物質フローの推計値は統計等の値を再現できたため、本手法が妥当であることが示された。結果によると、窯業土石、鉄鋼、建設め3産業の物質フローが愛知県全産業の物質フローの中で特に大きいことがわかった。これらの物質フローに廃棄物を組み込むことによって、ゼロエミッション実現の可能性が考えられる。