環境科学会誌
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湿地型屋上緑化の水温変化におよぼす水生植物の効果
相崎 守弘隅田 茜
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2005 年 18 巻 5 号 p. 535-540

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抄録

 木枠と遮水シートを組み合わせて作った水槽を使い,薄層緑化に対応する湿地型屋上緑化を施工した。1つの水槽面積は4.5m2とし4つの水槽を使って水位変化と水温変化を測定した。水位変化から蒸発速度と蒸発散速度を求めた。2つの水槽は植物を入れずに雨水だけとし,1つには水生植物を他の1つには陸生植物をゼオライト水耕法で植栽した。2003年夏期における平均蒸発速度は4 .5mmd-1で,水生植物を入れた水槽では7.2mmd-1,陸生植物を入れた水槽では6.Ommd-1であった。日最高水温は植物を入れない水槽ではしばしば40。C を超え60。Cに達する日も見られた。そのような日でも水生植物を入れた水槽では30。Cをわずかに上回る程度までしか水温は上昇せず,顕著な温度制御効果がみられた。陸生植物を植栽した水槽では水生植物ほどの顕著な水温制御効果はみられなかったが無植栽水槽に比べ水温変化は少なかった。1日の最高水温と最低水温の差も,水生植物を入れた水槽では5~10。C と植物を入れない水槽の15~20。C の変化に比べて著しく小さかった。

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