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環境科学会誌
Vol. 20 (2007) No. 3 P 181-194

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http://doi.org/10.11353/sesj1988.20.181


 プラスチックごみのリサイクルの効果を評価するためには,特定地域に焦点を当てた場合,GHG(温室効果ガス)排出量や化石燃料消費量の増減といった地球規模の影響だけではなく,都市域大気汚染物質の排出量や埋立処分量といった地域的な影響やごみ処理費用についても考慮するべきである。本研究では,「地球温暖化」「資源枯渇」「健康影響」「埋立処分場」「費用」という多側面の評価項目を設定し,川崎市における容器包装プラスチックの分別収集と高炉原料化を対象としたケーススタディの影響評価を通して,プラスチックごみのリサイクルの効果を計測する方法を提示し,その結果について考察した。 ケーススタディでは,容器包装プラスチックを含む可燃ごみと不燃ごみを混合収集して焼却処理する「現状維持案」,容器包装プラスチックを分別収集して直接埋立する「代替案1」,容器包装プラスチックを分別収集してリサイクル(高炉原料化)する「代替案II」を設定した。評価においては,GHG排出量や化石燃料消費量についてはライフサイクルでの排出や消費を考慮し,都市域大気汚染物質の排出量から地域住民の健康被害量を推計した。評価結果から,「地球温暖化」や「資源枯渇」といった地球規模の影響の観点からは代替案II が最も望ましく,分別収集と高炉原料化の効果は大きいと言えたが,逆に「埋立処分場」や「費用」という観点からは現状の処理システムが支持された。本研究の評価結果は,分別収集やリサイクルの実施に関する意思決定において,多側面の影響評価の結果を考慮に入れる必要があり,特定の側面のみを基準とすることが適切ではないことを示している。

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