環境科学会誌
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国際捕鯨規制をめぐるレジームの重層化と政策的相互連関
大久保 彩子
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2007 年 20 巻 4 号 p. 309-314

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抄録

 海洋生物資源管理に関する国際的枠組みとして,従来,国連海洋法条約や国連公海漁業実施協定,地域的な漁業管理協定など多数の条約体制(レジーム)が構築され,あるレジームのもとで講じられた措置が,他のレジームの効果に影響を及ぼすという政策的相互連関が生じてきている。より効果的な政策実施のためには,政策的相互連関を分析したうえで,レジーム問の相乗効果を強化し,悪影響を軽減する方策を検討しておくことが必要である。本稿では,国際捕鯨規制を対象に,複数のレジーム間の政策的相互連関を分析した。国際捕鯨規制に関しては,国際捕鯨委員会の動向のみが注目されがちであるが,国連海洋法条約をはじめとする鯨類資源に関連する複数のレジーム間の相互連関を分析することで,国際捕鯨規制の実態をより包括的に把握し,今後の日本の捕鯨外交のあり方を検討するために有用な知見を得ることができる。

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