本研究では環境格付機構による企業の環境経営格付データと個別企業の財務データを用いて,計量分析を行った。対象年度は2002年度から2004年度である。被説明変数として企業の見通しを表すトービンのq(Tobin'sq),説明変数として環境経営格付の各項目データをそれぞれ用いた。 本研究の結果として,法令遵守や企業文化方針を実践する規定や組織に関する評価項目や物流における評価項目,循環型事業経営における評価項目などが,トービンのqと正に有意な相関があった。また苦情対応等に関する社内教育プログラムはトービンのqと負に有意な相関が見られた。これらの結果よりCSRマネジメントは企業業績の無形資産に有意に働くことが実証されたと考えられる。