環境科学会誌
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工場廃水と河川水の吸着処理に用いた活性炭の溶媒再生
田門 肇岸村 昌明牧野 薫岡崎 守男
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1990 年 3 巻 2 号 p. 77-84

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抄録

 使用済み活性炭の溶媒再生プロセスの実用化の可能性を検討するために,化学工場廃水および河川水の吸着処理に用いた活性炭をエタノール,N,N-ジメチルホルムアミド,メタノールなどの溶媒で再生し,繰り返し再生の影響,使用溶媒量の低減化,溶出曲線に関して実験的検討を加えた。使用した廃水は,実際に吸着処理されている化学工場の総合廃水であり,主に芳香族化合物を含有している。TOC濃度は,0.11~0.13kg/m3であり,懸濁成分も含まれている。河川水としては京都府の高野川(京都市)と宇治川(宇治市)から採取したものを使用した。 工場廃水の吸着処理に使用した活性炭をバッチ法およびカラムテスト法を用いて再生特性の評価を行ったところ,繰り返し再生を行っても顕著な再生率の低下は見受けられなかった。また再生に使用する溶媒:量を低減した場合も再生率はほとんど低下せず,吸着質を溶媒中に高濃度に濃縮できることがわかった。 河川水の吸着処理に使用した活性炭の溶媒再生に関しても,エタノール,メタノールを用いると良好な再生率が得られた。 溶媒再生法の経済性を検討するために,加熱再生プロセスと溶媒再生プロセスのコスト比較を行った。本試算では溶媒再生法の方が経済的に有利である結果が得られた。

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