抄録
リグニンの基本構造の一つである芳香核に注目し,芳香核の4位にフェノール性水酸基をもつグアイアコールと4位にエーテル結合をもつベラトロールの2つをモデル物質として選び,それらの分解機構を提出した。オゾンによる廃液の分解機構を明らかにするために,280nm吸光度,水素還元後の280nm吸光度,メトキシル基量,フェノール性水酸基量およびシュウ酸量などの指標を測定し,モデル物質と廃液について比較検討した。廃液リグニンの場合,側鎖の影響で芳香核量を表す280nm吸光度と最終生成物であるシュウ酸量が共にモデル物質に比べて多少低くなったが,他の指標はほぼ一致した。これらの実験結果より,モデル物質の分解機構は廃液へ適用可能であることが確かめられた。