日仏経営学会誌
Online ISSN : 2434-5601
Print ISSN : 0915-1206
翻訳 Grandguillot, Béatrice / Grandguillot, F. 著『フランスの管理会計』第16版(2015-16年)
後藤 宏行
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2022 年 39 巻 p. 26-44

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抄録

企業経営上の新たな要求を満たすため、活動基準原価計算すなわちABC(Activity Based Costing)法と呼ばれる新たな全部原価計算が提唱されている。この方式は、機能別原価分類よりもむしろ企業のさまざまな工程の横断面分析(価値連鎖)に立脚している。操業度と関連した費用態様の分析では、特定の経営構造において、企業の一部の費用は製造量または操業度に応じて増減するが、他の費用は操業度と無関係であることが認められるに至っている。操業度と費用の増減との関連を明らかにするため、費用を変動費と固定費に分類し、その増減を特徴づけて予測をするのに用いられる数学モデルを導出することが有用である。費用の可変性の分析では、操業度に応じて総原価または単位原価が増減することが証明されている。このような状況は全部原価計算の重大な欠点となる。合理的配賦法の原則は、固定費の全額が明示すべき正常操業度に対応するという事実に立脚している。原価に算入される固定費は正常操業度との関連で計算される。

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