抄録
著者らが臨床で行っている咀嚼系機能障害の筋電図学的診査, 診断法について, 症例とともに報告した。
ここに示した診査, 診断法により咀嚼系機能障害の病態生理診断, 治療経過中の神経筋機構のバランスの状態, 下顎位, 治療判定をより的確にできるものと考えられる。
一方, 最近の著者らの研究16, 17) では, 心身医学的側面が筋電図時間的要素に相当な影響を及ぼす可能性が示唆されており, 生体の微細な反応を観察する際には身体的な面に加え, 精神的側面の関わり合いにも留意しなければならないと考えられるので, 診断に際しては他の診査も含めて総合的に分析する必要があると思われる。