2017 年 99 巻 p. 57-84
二〇一三年に国立社会保障・人口問題研究所が実施した第五回全国家庭動向調査のデータを用いて、夫婦それぞれの両親に対する生活面でのサポートの多様性と、どちらの親をより中心的にサポートしているかという世代間関係における非対称性がどのような要因によって規定されているのかを検証した。分析の結果から、子から親へのサポートは親側のニーズ要因と居住距離要因、そして親から多様なサポートを受けたケースほど親に対して多様なサポートを提供するという世代間交換要因によって強く規定されていること、またその交換には子世代側の合理的な側面が含まれていることが明らかになった。今日の世代間支援関係においても規範的要素は部分的に残っていることが確認されたが、支援の対象が自身の親か夫の親か、父親か母親かなどによってその規定要因は異なっており、文脈依存的、かつ状況依存的な特徴がより強まっていることが示唆された。