1987 年 12 巻 34 号 p. 61-70
既報において説明した方法により,アクリル板製の傾斜面屋根の模型を水槽に入れ,ハイブリッドシミュレーションを行った.実験から室内側対流熱伝達率が求められ,既報において平らな屋根について求めた対流熱伝達率の値と比較した結果,壁についてほぼ一致し,屋根については,傾斜面のほうが水平面より大きくなることがわかった.一般的な煙突効果による換気量の計算法を日射や外気温などによる換気系に適用し,開口部温度と外気温から内外圧力差を求め,上部開口部の流速を推定したが,この値は流速の測定値とほぼ一致した.この流速から全換気量を求めた.また,外気温と室内温度による気圧差の推定から室内各部の空気流量を求めた.一方,微細粒子を入れて可視化実験を行い,流れの状況を観察した.その結果,室内各部の空気流動は時間によって変化することを認め,測定結果と照合することができた.この自然換気系では工場などの高温発熱体による自然換気の場合と全く異なり,室内各部流量の平均値と下部開口から上部開口への全換気量とは異なることを定量的に示した.